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財務省の減税つぶし工作

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前

財務省の掌の上で踊らされた政治家も少なくない(時事通信フォト)

財務省の掌の上で踊らされた政治家も少なくない(時事通信フォト)

 石破政権にとって「今国会最大の関門」と見られていた新年度予算案が29年ぶりの修正を経て衆院を通過した。修正案に賛成して少数与党と手を組んだのは、「103万円の壁」引き上げによる大減税を主張した国民民主党ではなく、「高校無償化」を要求した日本維新の会だった。裏には減税を阻止したい財務省の暗躍があり、それに踊らされた与野党の政治家たちがいたと語るのは、財務官僚OBの高橋洋一・嘉悦大学教授だ。高橋氏が国会の舞台裏を抉る。

「結果的に財務省に一番尻尾を振ったのは前原誠司氏」

「国会での予算修正協議は与野党間で行なわれたように見えるが、仕切っていたのは財務省です。財務省は国民民主党、日本維新の会、立憲民主党に三つ股をかけ、どの党の要求が最も財源が少なくて済むかで選んだ。

 国の予備費は1兆円。そのうち何にでも使える一般予備費が5000億円ある。財務省にすれば修正に応じても財源が5000億円以内で済めば100点満点、1兆円ならギリギリ及第点。それを超えると赤字国債増発の特例公債法改正が必要になるから財務省的にはアウトで、そんな大規模な予算案修正になれば石破総理のクビを取りますよ、という姿勢だった」

 国民民主の「103万円の壁」引き上げに必要な財源は7.6兆円。一方の維新の高校授業料無償化は約1000億円(2025年度)。予算修正にあたって、与党は国民民主党との協議を先送りし、維新との修正協議を優先した。結果、国民民主は反対に回り、自民、公明、維新3党の賛成で予算案は衆院通過した。

「結果的に財務省に一番尻尾を振ったのは維新の前原誠司・共同代表ということになる。医療費を4兆円削減して社会保険料を下げるという要求は協議することにとどめ、高校無償化の1000億円だけで手を打った。財務省とすれば国民民主の主張を飲むよりはるかに安くあがった。

 本来なら維新と国民民主が共闘して、どちらの要求も飲めと突きつければ、石破(茂)首相は譲歩するしかなかった。しかし、財務省は維新の前原さんと国民民主の玉木雄一郎・代表は仲が悪いから手を組むことは絶対ないと読んで維新取り込みに動いたわけです」

 前原氏に国民民主と手を組んで交渉しようと考えなかったのかについて聞くと、「国民民主党に協調を呼びかけたが連絡はなかった」と回答した。

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