借り換えの判断基準は
すでにローンを組んでいる人が気になるのが「出口戦略」だ。金利上昇を受け、有利な金利での借り換えも選択肢だが、判断は慎重に行ないたい。
「借り換えには金融機関や司法書士などに払う諸費用が発生し、その額は元本の2.5%から3%が相場です。借り換えの判断基準は、金利の低下分が諸費用を上回るかどうか。残りの返済期間や残債が少ない人には借り換えのメリットが出にくいことに注意が必要です」
モゲチェックの試算では、残債3000万円でローンを30年残す人が金利0.7%から0.35%に借り換えた場合、諸費用を引いて約60万円プラスになる。一方、同じ金利低下でも返済期間が残り10年を切っている場合や、残債が1000万円以下の場合はほとんどメリットがなかった。金利上昇のリスクを低減させるため、自宅の「買い替え」を検討するケースもあるが、ハードルは高そうだ。
「今後のローン支払いが不安なら、価格の低い物件に住み替えるのも一案。ただし、不動産価格が高騰するなか、買い替え後の物件は立地が不便になるなどグレードダウンは避けられないでしょう」
“金利ある世界”の到来を受けた冷静な判断が、資産防衛のカギとなる。
■前編記事《日銀の利上げを受けて上昇する“住宅ローン金利”「変動型金利は2026年度に4%に達する」との予測も 月額負担額はどれだけ増えるのか、借り入れ元本別に試算》では、住宅ローン金利上昇によって、実際に支払うこととなる金額がどれだけ上昇するか、図表でわかりやすくシミュレーションしている。
※週刊ポスト2025年3月21日号