一気に追加投資するタイミング
ウォッチリストを活用して企業や業界の動向にアンテナを張りながら、CEOの発言や赤字の脱却といった「次のきっかけ」を気長に待つ。
そして「この企業は、いよいよ本格的に伸びるぞ」など自分なりの確信を得られたら、私は一気に投資額を増やします。つまり「買い増し」を行います。
例えば、NVIDIA は2014年に少し買い、AI分野への本格的な注力と成長性を確信した2018年に大幅に買い増したのはすでにお伝えしたとおりです(*前編記事参照)。
またNetflix の場合は、妻がNetflix のドラマにハマっていたことがきっかけで2013年に少し投資をしました。しばらく様子見を続けていると、2016年に、Netflix がオンラインストリーミングサービスを新たに世界130以上の国で展開すると発表しました。これを受け、私は「Netflix はアメリカの一企業から、真のグローバルエンターテインメント企業へと飛躍する」と確信し、大幅な買い増しに踏み切ったのです。
このように自分なりに「今後、間違いなく成長していく」という確信を得られた段階で、一気に投資額を追加するのが私の必勝パターンです。
しかし、確信したからといって、投資の資金をフルベットしているわけではありません。実はこの段階でも、数百万円程度にとどめることが多いです。
こんな話をすると「ずいぶんと慎重で、地味なやり方だな」と思われるかもしれません。しかし、メタトレンド投資では10年、20年かけて株価が10倍や100倍に成長していった企業が少なくありません。
確信を得た段階での追加投資がそこまで大きな金額ではなくても、最終的に大きなリターンを得やすくなる。これこそが堅実で、それでいて大きな夢も描ける、メタトレンド投資の魅力だと考えています。
※中島聡・著『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)より一部抜粋・再構成
■前編記事《「最悪ゼロになってもいい」から大化けへ 伝説のプログラマー投資家・中島聡氏が2014年から少額投資していたエヌビディア株を“買い増す決断”をしたタイミング》から読む
【プロフィール】
中島聡(なかじま・さとし)/1960年北海道生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。マイクロソフトでソフトウェア・アーキテクトとしてWindows95などの基本設計を手がける。2000年にXevo(旧UIEvolution)を創業。2019年に同社を3億2000万ドルで売却。現在はさまざまなソフトウェア開発を行っている。