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投資
伝説のプログラマーが説く「メタトレンド投資」の極意

「最悪ゼロになってもいい」から大化けへ 伝説のプログラマー投資家・中島聡氏が2014年から少額投資していたエヌビディア株を“買い増す決断”をしたタイミング

エヌビディア株が大化けすると感じたのはどのタイミングだったのか(Getty Images)

エヌビディア株が大化けすると感じたのはどのタイミングだったのか(Getty Images)

 NVIDIA(エヌビディア)のように、将来大化けする株をどうやって見つければよいのか。実際にNVIDIA株に2014年から投資し始めたのが、元マイクロソフトの“伝説のプログラマー”で投資家の中島聡氏だ。中島氏が提唱する「メタトレンド投資」のポイントは複数の企業に少額投資し、ウォッチリストを作成して「次のきっかけ」を待つことにあると説く。その具体的プロセスはどのようなものか。中島氏のNVIDIA株への投資経緯について、同氏の著書『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)から、再構成して紹介する。【前後編の前編】

まずは「唾を付ける」程度に少額投資する

「次のNVIDIA はどこですか?」「第2のTesla になりそうな企業を教えてください」

 そういった質問をよく受けます。しかし、今後急成長していく企業をピンポイントで当てるのは不可能です。

 では、なぜ私がNVIDIA やTesla、さらにはGAFAM(Google、Apple、Facebook ※現Meta、Amazon、Microsoft)のような企業を早い段階で見つけ、投資することができたのでしょうか。

 その裏には「メタトレンドに乗りそうな企業を複数押さえておく」というシンプルなアプローチがあります。例えば、10社や20社の企業に少額ずつ投資し、そのうちの1社でも5年後や10年後に10倍以上成長すれば「結果として次のNVIDIA を引き当てた」ということになるわけです。

 このやり方にはいくつか重要なポイントがあります。すでにお伝えしたように、いきなり大金を投じるのではなく、まずは少額投資で「唾を付ける」程度にしておくこと。こうすると、急にその企業の動向が“自分ごと”になり、情報収集やニュースへの感度が高まります。

 そして、ウォッチリストに加えた企業を半年から1年程度、様子見します。ある程度待ってみて、そこで思ったほど業績が伸びない、あるいはどうもこの企業には確信が持てないと思えば潔く売ってしまいます。逆に「この会社はもっと伸びる」と感じたら買い増します。これを繰り返すことで、最終的に確信を持てた本命だけが手元に残ります。

 いわば「数撃ちゃ当たる」の発想ですが、私はこのやり方を続けてきました。これで10倍や100倍株を引き当てましたし、なにより多少のマイナスこそあれ、大損はしていません。

 結果的に、いま「本命」として長期保有しているのはわずか7社ほどです。これらは熾烈なサバイバル競争を勝ち残ってきた“エリート銘柄”といえますし、この7社の足元には私が過去に手放してきた何十、何百もの株が横たわっているのです。

 私の場合、興味関心の幅が人よりもかなり広いため、投資先の候補も多くなってしまいます。しかし、一般の方なら10社や20社で十分でしょう。そのうち1社が大化けすれば「次のNVIDIA」をつかんだも同然です。

 メタトレンド投資はいきなり大金を投じて一か八かの勝負をするのではなく、まずは小さな関わり(ウォッチリストへの追加)から慎重かつ着実にはじめるのです。

 そして、企業や業界について自分ごと化し、あらゆる情報源にアンテナを張る。その後、「これは伸びそうだ」という確信を得られたタイミングで買い増していくという段階的な手法を取ります。

次のページ:ウォッチリストに入れたら「次のきっかけ」を待つ

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