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《面倒な手続きを“最短”で終わらせる》故人が保有していた預貯金口座を速やかに把握する「預貯金口座付番制度」 4月スタートの新制度の使い方

故人の預貯金口座を把握する方法は(イメージ)

故人の預貯金口座を把握する方法は(イメージ)

 家族が亡くなった後、悲しみに包まれながらやらなくてはいけないのが煩雑な死後の手続き。昨年父親を亡くし、その後の手続きに苦労したという都内在住の60代男性・Aさん。最も手間がかかって大変だったのは、多数残されていた父親名義の銀行口座を探すことだったという。

「父は生前に財産を整理することなく亡くなりました。そのためキャッシュカードや通帳、銀行から郵送された書類を家中探し回り、自宅近くの銀行に一つ一つ直接問い合わせまでして口座の有無を確認しました。一通り終えるまでに2か月かかったうえ、すべての口座を捕捉できたのか今も定かではありません」(Aさん)

 故人が保有していた預貯金口座を把握することは、各種サービスの引き落としの確認や遺産相続の手続きを進めるうえで欠かせない。そこでAさんのような手間をかけたくない人が、“最短”で終わらせるために知っておくべき新たな制度が4月に始まる。それが「預貯金口座付番制度」だ。東京国際司法書士事務所代表の鈴木敏弘氏が言う。

「預貯金者が金融機関の窓口で口座とマイナンバー情報の紐付けを申請する際、他行の口座もまとめて紐付けることが可能になります。Aさんの父親がこの制度を使った申請をしていれば、相続発生後にAさんはどれか一つの銀行に問い合わせるだけで父親の複数ある口座を一括して把握できるのです。銀行を特定するために駆けずり回る手間が省けて便利です」

複数の口座にまとめてマイナンバーを登録できる

 昨年4月に施行された「口座管理法」により、銀行にマイナンバーを届け出ることが可能になった。それにより、銀行窓口で新規に口座を開設する際などにマイナンバー情報を登録するかを尋ねられるようになった。その制度が拡充し、これまでは複数の口座に登録するには金融機関を一つずつ訪ねる必要があったが、4月以降は一度にまとめて登録できるようになるのだ。

 子が親に“もしもの時のために銀行口座の情報をまとめておいてほしい”と頼んでも“通帳を1か所にまとめておくのは不用心だ”“たとえ子供であっても財産のすべてを把握されたくない”といった理由で首を縦に振ってもらえないケースは珍しくない。それが新制度を使えば親の側の懸念を払拭しながら、亡くなった後に口座情報をまとめて子に伝達することが可能になるわけだ。制度を所管するデジタル庁の担当者の説明。

「申し出を受けた金融機関は預貯金者のマイナンバー情報を『預金保険機構』に通知します。その後、機構は預貯金者が事前に選択した他の金融機関と紐付けを進める。登録はマイナンバーカードがあればそれだけで可能です。なければ個人番号、氏名、生年月日、住所が確認できる書類が必要です(通知カードと免許証など)。他の金融機関の口座確認や連携など一連の手続きにかかる日数は2~3週間を目安にしています」(政策報道チーム)

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