番付順で決まる「集団生活」というハードル
力士になるには新弟子検査に合格しなければならないが、条件は義務教育終了した健全な23歳未満(スポーツ経験者は25歳未満)の男子で、身長167センチ(3月入門は165センチ)、体重67キロ以上であれば新弟子として入門できる。
ハードルは決して高くないが、入門後は昔ながらの慣習を残した生活が待ち構える。力士は相撲協会所属だが、同時にどこかの相撲部屋に所属する。部屋では大部屋での共同生活となり、掃除、洗濯、ちゃんこの支度などが新弟子の仕事となる。相撲ジャーナリストが言う。
「1日でも早く入門した力士は年下でも兄弟子と呼ぶ。その他はすべてが番付順。朝6時から始まる朝稽古は番付下位から土俵に上がるため、新弟子は誰よりも早く起きなければならない。稽古後は番付上位から風呂に入り、食事を食べ始めるのも番付順となる。
十両以上の関取になれば個室を与えられたり、近くにマンションを借りて部屋での稽古に通うこともできるが、幕下以下の力士は寝る時も含めて大部屋での共同生活。プライバシーも確保できず、付け人として親方や十両以上の関取の世話もしなければならない。一人っ子として育った新弟子も少なくないが、このような集団での生活が関取に出世するまで続くことになる」
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