優待縮小・廃止が増えている背景
一方で、最近は優待の縮小や廃止が目立っています。背景にあるのは、東証によるPBR(株価純資産倍率)改善の要請です。企業は「効率的な経営」を求められるようになり、優待のコストが見直されているのです。
また、海外投資家は優待に興味を持たず、「配当や自社株買いによる利益還元」を重視します。このため、企業は「限られた資金をどう使うか」という判断に迫られ、優待を削る決断をするケースが増えています。
先述したREVOLUTIONの場合は、身の丈以上の優待を設定したため、優待コストが膨らんで、財源が足りなくなり廃止となりました。当初想定していた予算は1.8億円で、実際に必要なコストは最大で年間11.9億円ですから、企業サイドの読みが甘かったと言わざるを得ません。
優待投資の最大のリスクとは
優待目的で投資をする場合、最大のリスクは「優待がなくなった途端に株価が下がる」ことです。優待廃止の発表直後に株価が急落する例は多く、優待が目的だった投資家は二重のダメージを受けることになります。
また、優待利回りばかりに目を向けてしまい、企業の業績や財務体質を見落とすケースもあります。業績が悪化しているのに優待が続いている場合、その持続性は疑わしく、やがて廃止されるリスクが高まります。
優待投資で失敗しないためには、優待はあくまで「おまけ」と考え、企業の本業や収益性をしっかりチェックすることが大切です。
さらに、分散投資を心がけ、一つの優待銘柄に集中しすぎないこともリスク回避に有効です。企業IRや決算資料を確認し、「なぜこの企業は優待を続けているのか?」という視点を持つことも、賢い優待投資家になるためのポイントです。
今回のポイント
・株主優待は株価安定や自社PRのため、企業が戦略的に導入している
・PBR改善要請や配当重視の観点から、優待縮小・廃止の企業が増加している
・優待は「おまけ」と考え、企業の業績や分散投資でリスクを抑えることが重要
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん