FF(前輪駆動)の場合はハンドルを切ることによってタイヤの裏側にまで手が回り、より楽に装着できる。FR(後輪駆動)で、タイヤとフェンダーアーチの間が狭いと、少し時間を要するかもしれない
上半分にスノーソックスを被せたところで前進か後退して、タイヤを180度回転させる
180度回転させたところで残り半分のスノーソックスをタイヤに被せれば完了。多少ずれていても走行することで適正な位置に修正される
春でも布製滑り止めの有用性を考えたい
実際に2枚(車1台分、駆動輪2輪に装着)の装着時間を計測してみると、さすがに3分は無理でした。あくまでも個人的に計測した時間ですが、駆動輪2輪への装着に要した時間は約6分でした。実のところタイヤに被せるにはコツや力が必要な場面があります。また輸入車に多いのですがタイヤとフェンダーの隙間が狭いクルマでは、タイヤの奥まで手を差し込んで作業するときに苦労したり、力も必要だったりするのでそれなりに時間がかかります。まぁ、それでも5~6分程度で装着できるのですから、面倒くさいという感覚はありません。また、外すときには2輪で3分少々でした。
外した後はチェーン自体が汚れていたり、水を含んでいますから、そのままソフトケースに戻すのは避けたいところ。室内や荷室を汚さないために事前にビニール袋などを準備しておくと重宝します。そして自宅に戻ったところで、水洗いし、乾燥させてから折りたたみ、ソフトケースに入れて保管します。サビとも無縁ですから管理はとても楽です。
さて春の雪のようなシャーベット路面で使用してみたのですが乗り心地はチェーン装着とは思えないほど快適です。とくに圧雪路面が切れ、アスファルトが顔を出しているような路面でも、その走りはスムーズで静か。
しかし、ここで調子に乗って速度を上げてはいけません。スノーソックスなどの布製滑り止めの多くは「制限速度40km」としているものが多いのです。確かにそれ以上の速度域になると遠心力でタイヤの外側に布が膨らみ、フェンダーの内側に擦れるような音や振動を感じることもあります。さらにシャーベット状の雪がソックスの中に入り込み、ダマになったりすることがあるのです。滑りやすい路面での無理は滑り止めを装着していても禁物ですから、スロー&ステディが基本です。
さて、平地部分ではこれから「夏日予報」まで出ている状況になっていて、なぜ“冬の滑り止め”について改めてレポートしているのか、という疑問もあるかもしれません。
一般的に“上空1500m付近の温度が-6度以下(高い山は0度以下)で、かつ地上付近の温度が3度以下”になると、雪が降ると言われています。最近では上空の寒気の気温情報も比較的手軽に得られるため、積雪の可能性についての判断材料になります。桜が咲き出したとは言え、「上空の寒気」に注目してみると「これから出掛ける場所の降雪の可能性」なども理解できると思います。
東日本以北の観光地や標高の高いスキー場など観光地に向かって夜間ドライブとなれば、凍結路などの可能性もまだ捨てきれません。わずか数キロでもそうした緊急的な路面状況に対応できる「布製滑り止め」を携行しているだけで、気分的に楽になるのです。個人的には今年初めにダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」を装着し、いざというときのために「ISSEスノーソックス」を備えるという組み合わせにしてから、これまで以上に対応力が向上し、さらに心強さも感じています。せっかくの春気分の中で「冬の滑り止めのことなどは考えたくない」という気持ちも理解できます。それでもかさばらず、錆びたり腐ったりもしない布製滑り止めを、来シーズンの雪道対策として準備し、暖かなうちに装着練習をしておくというのも悪くないと思います。