注意報レベルの大雪の中へ「シンクロウェザー」を装着して向かった
ドジャースの大谷翔平選手をCMに起用して話題となっているダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」を装着して国道17号線の“三国峠越え”に挑戦。新技術「アクティブトレッド」を搭載した「シンクロウェザー」はオールシーズンタイヤの最大の弱点である凍結路での走行にも対応できるという触れ込みだが、果たしてその実力はいかほどか。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、自動車ライターの佐藤篤司氏が2010年式のMINIクーパーに「シンクロウェザー」を装着し、検証した。《前後編の後編》
トータルバランス向上のための新技術
ダンロップの「シンクロウェザー」のキモとなるのが「アクティブトレッド」という技術です。これは水や温度に反応して路面状態の変化に反応して→合わせて「ゴムの性質」を瞬時に変化させる新技術で、「水スイッチ」と「温度スイッチ」という“ふたつのスイッチ”をゴム内に組み込んだもの。もちろん電源スイッチのような機械的なスイッチがタイヤの中にあるのではなく、路面の状態が一定の条件になると、ゴムの性質が変化する“きっかけ”のことを、メーカーはスイッチと表現しています。
ダンロップの直営ショップ「タイヤセレクト中野哲学堂」の正確で迅速な作業によって装着を完了
まず「水スイッチ」ですが、トレッド面が水に触れるとスイッチが入り、ゴム表面が柔らかくなることで、濡れた路面でのグリップ性能が向上します。逆に乾燥するとポリマー同士が再結合してゴムは元のサマータイヤと同レベルの剛性に戻ります。スタッドレスタイヤが苦手としていた「ウエット路面でのブレーキング」や「剛性感の無さ」をこれで克服したと言えます。
つぎの「温度スイッチ」は、低温になるとスイッチが入り、ゴムは柔軟性を保ちながら氷上路面を柔らかくグリップします。こうしてオールシーズンタイヤが苦手としていた氷上での性能を大きく向上させたため、「高速道路冬用タイヤ規制」でも走行可能な「スノーフレークマーク」だけでなく、国連規定で定められた氷上性能の基準を満たすことを示す「アイスグリップシンボル」も取得できたのです。気になる氷上性能はダンロップのスタッドレスタイヤ「ウインターマックスWM02」、つまり「ひと世代前のスタッドレス」にも匹敵する性能を実現したとのことです。もちろん常温になれば一般的なサマータイヤと同レベルの快適な走りを保ちます。
このようにふたつのスイッチに加え、静粛性と排水性・排雪性を高いレベルで両立した新しいトレッドパターンを採用。こうしたことでドライ路面からウエット路面、そして圧雪路や凍結路までこなす、レスポンスのいいオールシーズンタイヤが実現したわけです。