積雪5センチぐらいの圧雪路でも走りやすく、十分にグリップ力を発揮してくれる「ISSEタイプ1」
桜の季節になっても、突然の“思わぬ降雪”に遭遇することがある。特に標高の高い観光地、山間部の国道や高速などでは、スタックによる交通障害やスピンによる事故などが各地で頻発しかねない。そんなとき“持っていてよかった”と重宝するのが「手軽な装着性とコンパクトで収納性」に優れた「布製タイヤチェーン」だ。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回はライターの佐藤篤司氏がシャーベット状の路面で「ISSEスノーソックス」を装着して走行し、レポートする。
まだまだ油断できない雪情報
春に降る雪を「淡雪(あわゆき)」、「名残雪」、「春雪」、「綿雪」、「ざらめ雪」などといい、そこには日本的な情緒さえ感じます。一方で春に降る雪に関する言葉がこれほどあるということは、決して珍しいことではなく、それなりに頻度も多いという証明かもしれません。当然ながら桜が咲くような気候になれば、誰もが雪のことなどに思いが及ばないのが普通でしょう。そんな状況で先日(3月19日)のような“思わぬ降雪”に遭遇すると、ちょっとやっかい事になるのです。
今回も数センチの圧雪路とは言え、標高の高い観光地などでは夏タイヤのまま走行していたクルマがスピンしたり、坂道で登れなくなったりと、交通障害の原因になっていました。何度となく申し上げていますが、そうしたドライバーのほとんどは「公安委員会遵守事項違反」となり、本来は「滑っちゃいました」などと笑っている場合ではないのです。当然ですが、冬タイヤや滑り止め未装着が原因で人身事故などを引き起こせば、社会的な責任はより重大になります。
一方で、桜の季節ともなれば誰も雪道走行などのことを考える人はいないと思います。その気持ちは理解できるのですが、私は少なくとも4月の半ばぐらいまでは降雪の可能性に備え、スタッドレスを履き替えません。仕事柄、高原地帯を走ることもありますし、北国にも向かいます。まだまだ気温が0度前後から一ケタ台になることも多いので油断禁物だからです。これは関東地方を中心に考えての話しですが、さらに東北地方や北海道となれば4月いっぱいからゴールデンウイークぐらいまでは冬用タイヤに助けられることも十分にあり得るのです。
もちろんごくごく一般的な人たちに、そこまで求めるのは酷かもしれません。多くの人にとって桜前線の話題が出る頃ともなれば「夏タイヤへの衣替え」も致し方ないと思います。そんなときにこそ、お勧めするのはタイヤチェーンなどの滑り止めを携行することです。
ただ、金属製だけでなくプラスチックやゴム製の滑り止めはどうしてかさばり、重量もあります。さらにイザとなったとき、慣れていないと装着にもかなり手間がかかり、それを考えただけでもストレスになります。今回の降雪報道の中には急遽チェーンを購入したものの「装着に40分かかった」という人までいました。こうした面倒があるために「少しぐらいなら夏タイヤのままで走っちゃえ」と考えるのでしょう。ところがそうした気持ちの隙が災いし、アクシデントを引き起こした例はけっこうあるのです。
その点、布製チェーンなら、携行しやすいうえに装着も楽。たとえば「ISSEスノーソックス・スーパー・タイプ1(以下、スノーソックス)」の場合は、縦40センチ、横25センチ、厚さ8センチのソフトケースの中にポリエステル素材の布製チェーン(1枚当たり重量約500g)が2枚入っているだけ。トランクに備えておいてもそれほど邪魔にはなりません。この携行性の良さに加え、メーカーによれば「装着に3分」という装着の楽さが、チェーン装着のハードルを下げてくれる点はやはり嬉しいはずです。