多言語表示が進む駅構内の電光掲示板(写真:イメージマート)
駅や電車内に掲示されている電光掲示板。「次の駅」や「行き先」を確認するために、見る人は多いだろう。この電光掲示板に、英語や中国語、韓国語などの多言語表示が導入されて久しい。インバウンド客への対応に一役買っている一方で、日本人利用者からは「日本語での案内表示時間が短くなる」ことにストレスを感じる声も出ているようだ。ただし、鉄道関係者は「多言語表示がなされることで、日本人のお客様にもメリットがある」と語る。いったいどういうことか──。
日本語が表示されるまで時間がかかる
インバウンドで盛り上がる日本において、グローバル対応を望む声があるのは事実だ。たとえばJR東日本では「お客様の声」に基づくサービス品質向上として、10年以上前から自動券売機での多言語表示を取り入れている。ただ、自動券売機ならば表示言語を切り替えればよいが、電光掲示板での多言語表示は、日本語→英語→中国語→韓国語といった“ループ制”のため、日本語表示がされるまで待つ必要が出てくるため、ストレスを感じる人がいるというわけだ。
東京都在住のAさん(40代男性)は、電車内での行き先案内が多言語によるループ表示されることについて、「初めて行く駅に向かう時は不便」だという。
「電車内で、次の駅や行き先を案内する電光掲示板がありますよね。急いでるとき、パッと見て、あそこに日本語が出てないことが多々あります。英語はまだいい。中国語も漢字なので、なんとなくわかります。問題なのは韓国語です。何が書いてあるのか想像もつかないので、目的地の駅まで乗り過ごしていないかとか、行き先は合っているのかとか、若干不安になりますね。少し待てばいいだけの話ではあるのですが、ここは日本なのに……と不思議な気持ちにもなってしまう」(Aさん)
秋田県在住のBさん(30代男性)は、東京出張に行った時のことを振り返り、「日本人にやさしくない仕様は本末転倒では」という。
「僕のような地方から東京へ行く人にとって、東京の鉄道はとにかく複雑。どのホームで何に乗ればいいのかさっぱりわからないのに、それが英語や中国語で書かれていると、大混乱です。観光客も大事ですが、もう少し日本に住んでいる日本人にやさしい案内があってもいいかと思います。たとえば、どんな言語が表示されようとも、日本語だけは常に表示するとか」(Bさん)