“海外の合法カジノサイト”でも処罰の対象に(イラスト/大野文彰)
このところ芸能人やスポーツ選手がオンラインカジノをしていたという問題が相次いで発覚し、活動自粛などに追い込まれている。オンラインカジノは違法とされているが、違法だと知らなくてやった場合でも罪に問われる可能性があるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
息子がインターネットでスロットやカードゲームなどを行っているようです。お金を賭けているかどうかはわからないのですが、最近、ニュースなどで耳にするオンラインカジノだった場合、どのような罪になりますか。また、ただのゲームだと思っていたり、違法だと知らなかった場合でも罪になりますか。(東京都・主婦・55才)
【回答】
刑法に賭博罪という犯罪が規定されています。
賭博が違法なことは誰でも知っていることですが、賭博とは何かといえば、最高裁が「勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争う」こととし、その結果、「怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害し」、ひいては「暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れがある」と説示しています。つまり、賭博は社会全体に対する犯罪といえます。
スロットであればマシンの持ち主との間で、カードでは勝負相手との間で、偶然の要素で勝ち負けが決まる勝負をしますから、お金など財産を賭ければ賭博になり、常習性がない単純賭博でも50万円以下の罰金または科料で処罰されます(ただし、ひいきチームの勝敗で食事をおごるなど「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合は、日常的な娯楽範囲で許容されます)。