原油:政治的な動きが価格に転嫁されやすい
インフレ時代には消費者物価指数(CPI)全般が上昇するが、特にエネルギーの代名詞である原油価格の上昇こそが、消費者物価指数(CPI)の上昇の起点となることが多い。また、原油価格の高騰は生活出費、企業のコスト増に繋がり、特に航空企業のコストの圧迫は著しくなる。
原油価格指数として有名なWTI原油の価格は、ロシアウクライナ戦争が勃発した2022年から大きく上昇し、2022年には一時1バレル=120ドルを突破した。
ロシアが世界第3位の原油生産国であり、欧州に対し最大のエネルギー供給を行っていたことにより、ロシアに対する禁輸などの経済制裁が世界中に供給不安をもたらした。それに加え、OPEC+(ロシアを含む石油輸出国機構)が 原油増産を迅速に行わなかったことが価格上昇にさらなる拍車をかけた格好だ。
しかし、最近ではトランプ大統領がシェールオイル増産を推進し、産油国サウジアラビアとの交渉、ロシアウクライナの和平交渉に積極的に打って出ていることにより、原油価格は大きく値を下げ始め、現在では70ドルを割る水準での動きとなっている。
このように政治的な動きが価格に転嫁されやすい特徴があるのが原油だ。インフレ時代ということで基本的には多くの商品の値上がりが観測されているが、原油価格においては、それだけでなく、国際的な地政学事情の影響も考慮しておきたい。
牛肉:豚肉をはるかに凌駕する価格上昇が続いた理由
牛肉の価格も大きく上昇しており、直近5年間で+120%超の価格となっている。ここで興味深いのは豚肉価格との比較だ。豚肉価格は直近5年間で+37%超と上昇しているものの牛肉と比べて大きく劣後する。また直近1年間で見ると、牛肉が+10%弱の上昇をしているにもかかわらず、豚肉は1年前からほぼ価格変動が起きていない。
牛肉と豚肉の価格変動の違いは、両者の生産コストの構造が異なることが関係する。牛は飼育期間が長く、通常2~2.5年程度かかるのに対し、豚は約6ヶ月で出荷可能となる。このため、牛は飼料代や人件費などのコストが長期にわたってかさみ、その上、最近ではトウモロコシや大豆といった飼料価格高騰の影響を強く受ける。
一方、豚は飼育期間が短い分、牛肉の出荷にかかるコストに比べ圧倒的にコストを抑えることが可能となる。
また、牛肉の場合、アメリカやオーストラリアからの輸入依存度が高く、輸送コスト増の影響も強く受けている一方、豚肉は日本国内での生産が一定程度安定しているため、輸入依存度が牛肉ほど高くない。その上、豚は繁殖効率が高く、1頭あたりの出産頭数が多いことから、供給量も牛に比べ確保しやすく、価格も安定しやすい。
さらに、牛肉は豚肉よりも高級品としての位置づけが強く、価格が上がっても一定の需要があり、豚肉に比べて価格上昇傾向が強い。牛肉については他の食料品に比べ価格が上昇しやすいものと考えてよいだろう。