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ビジネス

【いきなり黒字化】「いきなり!ステーキ」復活でわかった飲食業の再建に必要な改革 キーワードは“小さなマクドナルド化”

「いきなり!ステーキ」はいかにして黒字化を達成したのか(時事通信フォト)

「いきなり!ステーキ」はいかにして黒字化を達成したのか(時事通信フォト)

 外食チェーン「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスが業績回復の狼煙を上げている。2019年頃から業績不振にあえいでいたが、今年2月に発表された2024年12月期業績では黒字転換をはたし、今期も収益拡大を見込んでいる。2022年に社長に就任した一瀬健作氏が進めてきた“抜本的な構造改革”の成果が着実に実を結んでいる格好だ。社長就任から2年余りで“いきなり黒字化”が実現できた秘密を、イトモス研究所所長・小倉健一氏が解き明かす。

「このままではお近くの店を閉めることになります」

 いきなり!ステーキを展開するペッパーフードサービスの営業損益の推移を見ると、2019年度から2023年度まで赤字が続いた(最終損益では2018年度から2020年度まで赤字、2021年度に黒字化するも、2022~2023年度は赤字)。

 2019年末には、「社長からのお願いでございます」という当時の一瀬邦夫社長による直筆のメッセージが、ポスターとして大きく掲示されたことも波紋を呼んだ。店舗の窓やレジに貼られた「お客様のご来店が減少しております。このままではお近くの店を閉めることになります」という悲痛な訴えが、SNSやメディアで拡散され、ネガティブに受け取る消費者もいた。「迷走している」「お客様に責任を転嫁している」といった批判も寄せられ、ブランドイメージに少なからぬ影響があっただろう。

 同時に、ピーク時に500店を超えていた店舗網が過剰となり、既存店の売上は大きく低下した。出店スピードに対し、収益性の検証が追いつかず、赤字店舗が急増。不採算店の整理も遅れ、コスト構造は重くなった。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う来店客の激減が追い打ちとなり、経営再建は不可避となり、創業者である一瀬邦夫氏が代表取締役を退任し、息子である一瀬健作氏が代表取締役社長CEOに就任した。2022年以降、ペッパーフードサービスは抜本的な構造改革に踏み切った。

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