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【注目銘柄】エレコム:単なるデジタル機器メーカーから脱皮し、新たな成長段階へ

エレコム(6750):市場平均予想(単位:百万円)

エレコム(6750):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 エレコム(6750)は、大阪市中央区に本社を置くPC・スマホ周辺機器のファブレスメーカー。代表的な製品は、マウスやキーボード、ケーブル、スマホケースや保護フィルム、電源など、様々な周辺機器を製造・販売しています。

 創業は1986年で、家電量販店を販路とするOA家具メーカーとして、パソコンラックの販売からスタートしました。その後はパソコンの普及に合わせ、マウス(エッグマウスの先駆け)やテンキー、HDDやメモリと、様々な周辺機器に取り扱いを拡大し、パソコン市場の波に乗って成長を遂げました。

 ところが1990年代半ばになると当時売上の半分を占めていたHDDの価格暴落のあおりを受け赤字に転落、その後にはノートパソコン自体の到来によりパソコンラックが売れなくなるという経営危機の時代を経験しました。

 この苦境は、HDD事業を廃止し、ノートパソコンに合わせた製品を生み出すことで乗り越えました。例えば、小型マウスやキャリイングバッグ、巻取型のイヤホンやLANケーブルなどを投入しました。

 さらにスマートフォンの時代になると、スマホケースをはじめ、Wi-FiやBluetooth機能を生かした製品を投入し、マーケットリーダーとしての地位を確立。2013年には東証一部に上場も果たしました。

注目ポイント

 同社は、デジタル市場の進化とそれに伴って変化する周辺機器へのニーズを捉え、スピーディーに市場投入をしてきました。「高速開発」は同社を物語る代名詞ともいえます。

 同社が展開するPC・スマホ周辺機器は、非常に製品サイクルが短い市場です。スマホの新機種が出れば、スマホケースもそれに合ったものに変える、ということを想像するとその速さがよく分かります。

 その市場のスピード感に対し、同社はより多くの製品を開発し、スピーディーに市場に投入することで、需要を捉えています。なんと毎月300品種を新製品として発売しているとのこと。取扱商品点数は19000品種に上りますが、これらは3~4年で全て入れ替わるといいます。つまり、売り場に行けば、常に新製品が並んでいるということです。

 この多品種・高速開発を実現する、基盤となっているのが、ファブレス製造と委託販売による完全な棚管理です。

 まず、ファブレスメーカーであることは、スピード開発を支える大きな要素となっています。自社で生産設備を持たないので、固定費が抑えられ、経営資源を企画や開発、営業に集中することができます。そして何より、柔軟な製造を可能とします。調達先は、中国・台湾が約7~8割を占めます。

 なお、ドル建てで仕入れているため、為替動向の影響を受けます。儲けは販売価格と調達価格の差になりますので、円安になるとコスト増となります。ただ、同社ではこの儲け(売上総利益)の売上に対する割合が30~40%になることを目途として商品開発を行っています。これは競合のメルコHDより10%近く高い水準です(2024年3月期における粗利益率は同社38.6%、メルコHDは24.8%でした)。

 次に、同社では、委託販売(量販店は売れた分の代金をメーカーに支払い、売れなかった商品は返品する)の方式を採ることで、売り場スペースを自ら運用しています。これによって、売れる新しい製品を絶えず展開することができているといいます。ファブレスで生産過程に人材が要らない分、営業面に人材を配置することができることもこの方式を可能としています。同社では競合他社の倍以上の営業を配置し、量販店での販売促進を行っているとのこと。

 この売り場を完全に管理する仕組みは、1990年代からやってきたことです。長年にわたって積み上げられてきた売り場づくりのノウハウが競争力となっているようで、同社は13年連続で、スマートフォン用アクセサリ・関連商品やマウス、USBなど12部門でトップシェアを獲得しています。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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