子どもの医療保険も不要な理由
同じ発想で、子どもの医療保険も不要です。年齢に違いはあるにせよ、多くの地方自治体で子どもの医療費には助成金が支払われます。有名なところでは、東京都は2023年4月から高校生までの医療費が無料です。子どもが病院にかかっても3割負担どころか負担ゼロなのですから、民間の医療保険に追加で加入する必要がありません。
現状、日本では、子どもの生命保険(医療保険を含む)の加入率が5割と非常に高い水準になっています。子どもの場合は医療保険の必要性が限定的なことに加え、不幸にも子ども自身が死亡した際の生命保険も、多くの世帯で必要ないものです。
ちなみに現在、生命保険、医療保険ともに加入していない我が家ですが、損害保険(自動車保険・火災保険)には加入しています。自動車事故の加害者になって多額の損害賠償を背負ったり、火災により自宅の再建が必要になる出来事は、起きる確率は低いものの、起きた時には大きすぎる損害が生じるからです。
ただ、自動車保険にしても火災保険にしても、代理店型ではなく保険料の安いネット型を利用しており、また保険の特約も最低限にしています。
自動車保険では、車両保険に加入せず、弁護士特約とロードサービス特約のみに加入しています。火災保険でも地震保険に加入せず免責金額(保険会社が最低限負担する金額)を高く設定し、できるだけ保険料を抑えています。地震保険の加入は賛否があるものの、一般に火災保険料が2倍以上に跳ね上がりますし、地震が起きた時の補償額は、全損の場合であっても最大で火災保険の保険金額の50%に過ぎず、コスパが悪いと考えています。
東日本大震災における地震保険の支払い件数は、全損の5%に対し、一部損が70%でした。多くの家が限定的な損害と認定される中、一部損で受け取れる保険料は地震保険の保険金額の5%です。1000万円の地震保険を掛けていても50万円しかもらえないのです。
保険の考え方はリスクの捉え方と言ってもいいため、誰しもに適用される完全な正解というのはありません。ただ、往々にして日本人は保険の支払額が多く、貯蓄や投資に回せるお金が少なくなる傾向にあります。「この保険(特約)で一体何がカバーされるのか?」という視点で、今一度、現在の保険のコスパを定期的に点検することをお勧めします。
※斗比主閲子・著『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』(幻冬舎)より一部抜粋・再構成
【著者プロフィール】
斗比主閲子(とぴしゅ・えつこ)/1976年生まれ、旧帝大卒、会社員、既婚、子どもあり。という設定のブロガー。