買い越し=株価上昇となっているのか?
4月に買い越しの傾向があることがわかったところで、同じ期間の株価推移も調べてみました。
以下の表は、過去11年間の4月における売買動向と、主要株価指数である日経平均株価およびTOPIXの月間騰落率をまとめたものです。
過去11年間の4月における売買動向と、主要株価指数である日経平均株価およびTOPIXの月間騰落率。リアルタイムチャートのデータをもとに筆者作成
ここで意外だったのは、「海外投資家の買い越し」と「株価上昇」との相関性が思ったほど高くなかった点です。
海外投資家は11回中10回(90.9%)で買い越しているのに対し、日経平均・TOPIXともにプラスだったのは11回中6回(54.5%)でした。
この結果から、「4月は海外投資家が買い越しやすい月である」ことは事実ですが、「それが必ずしも株価上昇をもたらすとは限らない」ということがわかりました。
証券自己の売り越しが影響か
では、なぜ海外投資家が買い越しているにもかかわらず、株価が上昇しない年があるのか。その要因として考えられるのが、他の投資主体の影響です。
過去11年間の4月における売買動向と、主要株価指数である日経平均株価およびTOPIXの月間騰落率を投資主体別にまとめた。リアルタイムチャートのデータをもとに筆者作成
上の表では、海外投資家が買い越しているにも関わらず、株価がマイナスとなった年を赤地の網をかけています。その中でも、ここ数年特に目立っているのが「証券自己」だと筆者は感じました。
海外投資家と同等、もしくはそれ以上の売り越し額を記録しており、株価への影響が大きいことが推察されます。
「証券自己」とは、証券会社が顧客からの委託を受けず、自らの判断で行う取引のことを指します。近年はその金額が大きくなっている点に注意が必要です。