日産自動車の新社長に抜擢されたイヴァン・エスピノーサ氏(時事通信フォト)
トランプ大統領による関税強化に揺れる自動車業界。なかでも苦しいのが業績不振にあえぐ日産だ。ホンダとの経営統合破談を受け、経営陣が大幅刷新。新社長のもとで難局に臨む。ジャーナリスト・井上久男氏がレポートする。【全3回の第1回。全文を読む】
エスピノーサ新社長は「ドラム好き」
神奈川県厚木市にある「テクニカルセンター」。
ここは日産自動車の「頭脳」であり、エンジニアら約9900人が働く同社で最大の事業所と言われる。
新車の企画、デザイン、設計、試作、実験といった中枢業務が行われており、当然ながら、秘密管理上、来客が入館する際にはパソコンやスマートフォンはすべて預けなければならない。
3月25日、1週間後に日産の新社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏(46)ら新体制での主要役員が集まり、メディア関係者をその中枢に招き入れた。今後の新車計画や新技術を一挙に公開したのだ。
「日産に関して色々な風評が流れて社員のモチベーションが下がっている。将来のクルマや技術を披露することで日産の見方に対するトーンを変え、熱意ある社員のやる気も高めていきたい」
次のページ:「メキシコ人らしい明るさがあり、楽器のドラムを叩くのが好き」