サマンコーさんはアクティビストとしてどんな活動をしているのか(写真:イメージマート)
株式投資は、投資先の企業の分析を行うことが基本となる。企業価値を見定めるうえで、個人投資家の中にはアクティビスト(物言う株主)として活動する人もいる。
個人投資家・サマンコーさんは、企業努力を怠っているように思える会社に対して、株主総会事前質問状送付や他株主への働きかけなどを行い、改革を訴える。一方で、サマンコーさんは投資家がみなアクティビストになる必要はなく「オススメはしないね」と言う。なぜそうしてまでアクティビスト活動を続けるのか?
初級者から上級者まで、さまざまなスタイルを持つ投資家が集まる「投資家バー STOCK PICKERS」で実際に行われた話を元にまとめられた書籍『投資家バーの常連客から聞いた 投資の成功術』(酒井富士子・著、投資家バー STOCK PICKERS・監修、インプレス刊)より一部抜粋・再構成して、サマンコーさんのアクティビスト活動について紹介する。
日本の上場企業の1/3くらいは株主目線で問題を抱えている
サマンコー:株式投資を本格的に始めたのは2010年頃かな。最初は、多くの投資家がそうであるように、大手の有名企業の投資をしていたんだけど、惨敗続き。それから、株式投資講座に大金を払って通って基本を学んで、自分でも財務諸表や会計の勉強をして、自分なりの投資の法則を決めたんだ。
──投資の法則?
サマンコー:まずは、ファンダメンタルズを見て有望な企業を探す。それで、長期間PBR1倍未満とか資本コストなどの視点から問題を見つけた場合は、それを指摘して(物言い)変化を求める方法だよ。相場から忘れられている格安企業が変化した場合、株価が跳ね上がる可能性があるからね。
──物言いというのが、アクティビストの活動のことですか?
サマンコー:そういうことになるね。今はダメだけれど、変われば大化けの可能性のある企業への物言いを汗かきながら進めていくというわけ。
──物言いといっても簡単に聞いてはくれませんよね?
サマンコー:そうだね。経営者に手紙を書いたり、その企業の私以外の株主たちに手紙を送ったり、その企業の改革の必要性を訴えることもある。その企業の役員に面談を申し込んだり、社外取締役にお手紙を書いたりしたこともあったよ。また、株主総会に向けては、事前質問状を送り、会場で実際に質問をして、企業に私の疑問・提言についての対応を問いたりもしたかな。
──うわー、大変そう! しかもその準備や作業はサマンコーさんが1人でやっているんですよね?
サマンコー:そうだね。私は専業投資家だから比較的自由に動けるんだよ。普段、企業研究なんかは、朝2、3時には起きてやっているし。ただ、午後はなるべく趣味の時間に使っている。船が大好きだから、趣味にもお金をつぎ込んでいるね。
──ところで、企業の問題な点って、具体的にはどんな点を指摘するのですか?
サマンコー:そうだな……、日本の上場企業の1/3くらいは株主から見たら問題があるからね、なんていうとちょっと偉そうかな。