トランプ関税による株安はいつまで続くのか(写真=NurPhoto via AFP)
トランプ米大統領が4月2日に打ち出した「相互関税」が世界の株式市場に大打撃を与え、世界同時株安が進行している。日経平均株価は4月7日に一時2900円超も急落して3万1000円を割り込み、終値は前週末比2644円安の3万1136円。昨年8月5日の4451円安の暴落、1987年のブラックマンデー(3836円安)に次ぐ過去3番目の下げ幅となった。
昨年8月の暴落時と同様、「一時的な下落」「絶好の買い場」と考える投資家もいるようだが、専門家の見解を聞くと、「今回は次元が違う」と当面、下落相場は続くとの見方も出ている。いったいこの先はどうなるのか──。
「下げ止まりを期待するのは虫が良すぎる」
個人投資家向けに各種レポートなどを提供し、市場動向や個別銘柄の分析に定評があるカブ知恵代表の藤井英敏氏は、「まだまだ下がる」と予想する。
「トランプ大統領は、“MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大な国にする)”を旗印に、ほぼすべての国に一律10%の関税をかけ、日本の24%など特定の国により高い税率を上乗せすることを発表した。今回の世界同時株安は、“MAGAショック”と言ってよいでしょう。
通常、こうした暴落を食い止められるのは、政府や中央銀行の当局が打ち出す政策にほかなりません。ところが、当のトランプ大統領は、株安に対して『何かが下落することを望んではいない。しかし、時には何かを治すために“薬”を飲まなくてはならない』と発言。米国が栄光を取り戻すために必要なプロセスのひとつにすぎない、と突き放している以上、一時的な反発こそあっても、下げ止まりを期待するのは虫が良すぎるでしょう。
米中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)も、米国の景気後退が鮮明になっていない段階で緊急利下げに動けばインフレをコントロールできなくなる恐れもあり、いまは動くに動けない状況です。こうした状況では『下がるから売る、売るから下がる』というスパイラルに歯止めがかからない。関税強化での米国内のインフレ加速は必至でしょうから、政治主導で景気悪化させるような“MAGAショック”は当面続くと見ています」(藤井氏:以下同)