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土俵に埋まるカネ

【大相撲の年6億円「巡業」ビジネス】興行権を1日700万~900万円で勧進元に販売する“売り興行”は相撲協会のドル箱事業に 若貴ブーム時は自主興行にして手痛い失敗も

4月7日、地元石川県の津幡町に春巡業で凱旋し大きな声援を受けた大関・大の里

4月7日、地元石川県の津幡町に春巡業で凱旋し大きな声援を受けた大関・大の里

 大相撲には年6度の本場所とは別に、春夏秋冬と年4回の巡業がある。本場所で満員御礼が続き「相撲ブーム」の様相を呈すなか、巡業も大人気となっており、“角界ビジネス”は活況を呈している。

 今回の春巡業は、昨年1月の能登半島地震の復興支援として石川県、富山県、福井県と北陸3県で行なわれた。4月5日の七尾巡業(石川)では「まけんぞ能登」と書かれた横断幕が掲げられた七尾総合市民体育館に3000人が集まった。翌6日の富山市総合体育館での富山巡業では、地元出身の朝乃山が黒まわしで参加し、4000人の市民が会場を沸かせた。さらに翌7日は大の里と欧勝海の出身地の津幡町(石川県河北郡)での凱旋巡業に2400人が詰めかけた。

若貴ブームが去った後は自主興行が大赤字に

 角界では昔から「江戸の大関より土地の三段目」と言われるように、郷土出身の力士を応援する慣習がある。4月8日の福井・敦賀市総合運動公園体育館での敦賀巡業の2000人も合わせて、北陸3県での4巡業で1万1400人が駆け付け、大の里や遠藤、朝乃山など郷土力士に大きな声援が送られた。

 大相撲は春、夏、秋、冬の4巡業で全国74か所(2024年)を回る。今年の春巡業は北陸3県も含めて近畿や北関東など25か所で開催予定だ。巡業はどれぐらいのマネーを生み出すのだろうか。

 巡業は相撲人気によって入場者が大きく左右される。それもあって、もともと相撲協会は勧進元(主催者)へ興行権を販売する“売り興行”として続けてきた。それが1990年代に若貴ブームで巡業は大盛況になると、協会が勧進元となる“自主興行”に切り替えられたが、ブームは長く続かず今度は大赤字に。2000年代に再び“売り興行”に転じた経緯がある。相撲ジャーナリストが言う。

「本場所の入場料、NHKの放映権料、物販、広告、協賛金など相撲協会の事業収益は約130億円で、このうち巡業収入は6億円程度。ただ巡業は勧進元へ興行権を販売する売り興行のため、リスクが少なくて済む効率のいいドル箱事業です」(相撲ジャーナリスト)

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