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快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「徳さんならどんな評価を下すだろうか?」かつて徳大寺有恒氏が絶賛したフォルクスワーゲン・ゴルフ「8.5世代モデル」の実力検証 コスパだけでは語れない魅力

ベストバイはディーゼルのヴァリアント

 クラス的にはカローラ辺りをライバルとしながらも価格帯はひとクラス、いやふたクラス上のSUV、トヨタ・ハリアー辺りまで含むゴルフ。やはり「高級」といったポジションですが、実用性の高さに加え、輸入車というプレミアム感もあり、今でもフォルクスワーゲンの屋台骨を支える重要な存在です。そして今回、8世代目のマイナーチェンジモデルとして登場した最新型ですが基本フォルムは大きく変わりません。ただそれでも外観をみるとフロントグリルとバンパー、LEDヘッドライト、リアランプなどが新しいデザインになったところです。とくに目を引くのはフロントグリルの一部と中央の「VW」エンブレムが光る点で、見た目の華やかさやデザイン的な鮮度は向上しています。

 インテリアではインフォテインメント用のディスプレイが旧型の10インチから12.9インチ(画面の対角線の長さが約33cm)へと大型化されました。ちょうど「iPad」のA4サイズと同じ大型ディスプレイと同時に、フォルクスワーゲングループ最新の「MIB4」へとアップデートされています。インフォテインメントシステムは、ChatGPTを採用した音声アシスタントシステムの「IDA(アイダ)」です。これまで「いまいち」と言われていたインターフェイス面で使い勝手は確実に向上しています。

 デジタル面でのさらなる使いやすさ向上が実現されたことで、これまで高い評価を得ていたハード面の性能、つまり走りや実用性の高さが寄り輝きを増すことになります。まず走りを支えるパワートレインはこれまでの1.0リッターの3気筒エンジンを1.5リッターの4気筒エンジンに変更しました。この1.5リッターのガソリンエンジンはマイルドハイブリッドシステム(eTSI)で、馬力別に2種(116馬力と150馬力)あります。つぎにクリーンディーゼルですが2リッターのTDIクリーンディーゼル(150馬力)が用意されています。これでガソリンエンジン2種、ディーゼルエンジン1種によって、ベーシックモデルが構成されています。

 加えて、スポーツカーファンに支持されるスポーティーモデルの「GTI」用として2リッターエンジン(265馬力)と「R」の333馬力エンジンモデルもあります。こちらの痛快な走りのモデルについては独立したレポートが必須と言えるほどの出来映えですので、別の機会に行いたいと思います。

 そうしたラインアップ中で、やはり「これこそゴルフ」と感じたのは150馬力のeSTIハッチバック。多少の力不足は感じつつも、走り込むほどに静粛性の高さと滑らかな回転、そしてエンジン性能をしっかりとコントロール下においたブレーキ&サスペンション性能の高さに感心するばかり。さらにタイヤの真円性をしっかりと感じ取れるスムーズな乗り心地はさすがだと唸るだけ。「これこそベースモデルに求められるストレスフリー」と評価してもいい走行性能です。ボディも大きくなったとは言え、見切りもいいし、ドライバーへのフィット感も高い。半世紀経過しても「走りの魅力は不変」であると同時に、この質感の高さには、まだ国産車も追いつけていないのでは、と感じたのです。

 一方、個人的に「最良のゴルフ」を考えた場合、「ヴァリアント(ワゴン)」が選択の筆頭に来ます。シンプルでクリーンなワゴンデザインはハデすぎず地味になりすぎず、フォーマルなシーンにも乗り付けられる日常性があります。その上でワゴンとしての実用性があります。ハッチバックモデルでも十分と言われる使い勝手の良さはワゴン機能によってさらに輝くわけです。生活圏での使い勝手から休日のアウトドア利用まで、重宝することは説明の必要がないほど。

 徹底して使い込めるのですが、ガソリンにするかディーゼルかが迷いどころです。ヴァリアントはガソリンモデルのeTSI(アクティブベーシック)が363万9000円から、ディーゼルのTDI(アクティブベーシック)は410万円からとなっています。ワゴンとしての理想を考えるとディーゼルですが、360万円代のガソリンも悪くない、と迷いどころかもしれません。

 それにしても、ハッチバックにしてもワゴンにしても、「ちょっぴり高価かなぁ」と思いつつも、今時、これだけの質感、完成度があれば「この価格設定も許容範囲かもしれないなぁ……」となんとか納得。同時に「徳さんなら、今のゴルフにどんな評価を下すだろうか?」という思いが急に湧いてきたのです。

【写真】ガソリンのマイルドハイブリッド、ヴァリアントeTSIスタイル
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