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キャリア

色眼鏡見られがち?「帰国子女」枠で入学した当事者たちが振り返る葛藤の日々 「語学以外は全部ダメだった」「入試でズルしたわけじゃないけど引け目が」

帰国子女の人たちはどんなことに悩み、周りはどう思っているのか(イメージ)

帰国子女の人たちはどんなことに悩み、周りはどう思っているのか(イメージ)

 親の仕事の都合などで一定期間(通常1年以上)海外に滞在し、その後帰国した子供を指す“帰国子女”にどんなイメージを持っているだろうか? 小さい頃から海外生活をしていれば外国語がペラペラという人も少なくないだろう。また、入試では別枠での受験機会を提供されることもあり、通常の入試と比べて、競争率が低いことや試験科目が少ないことなどから、「帰国子女枠は有利」と指摘されることもある。

 とはいえ、いざ日本の学校に入学すると、さまざまな問題に直面し、なかでも「色眼鏡で見られることは多い」という声は多く聞こえてくる。「帰国枠」を使って日本の学校に入学した当事者たちに、リアルな思いを聞いた。

「日本語も英語も中途半端」を痛感

「帰国子女」といえば「語学ができる」というイメージがある。たしかに語学のアドバンテージが高いケースが多いのは一定の事実かもしれないが、彼ら/彼女らならではの悩みがある。

 6歳から12歳までアメリカ・カリフォルニア州で過ごしたユリさん(仮名、22歳/大学4年生)は中学受験の帰国枠で、試験が英語のみだった私立校に難なく入学。その後は一般入試で名門私立大学に進学したが、「いろいろと苦労は多かった」と振り返る。

「中学入学後は軽く地獄を見ました。英語以外の全ての科目で辛酸をなめることになったんです。日本の小学校で当たり前に習っていることが全然わかっていないし、国語はもちろん、数学や理科なども、問題文の前提となっている日本語がよくわからないことがありました。最初は“九九”がわからなくて驚かれたことも……。

 自分が頑張れば済む話ならいいんですけど、何かと『帰国子女だから(日本の)常識がわからないんだね』とか、『あいつは帰国だから敬語の使い方がおかしい』いった感じで、ネガティブな話の時に“帰国子女”を引っ張り出されたり、英語の発音がやたらいいのも笑われたりで……。正直生きづらくて、大学入学後は逃げるようにアメリカへ留学してしまいました」

 ただし、以前暮らしていたアメリカなら“生きやすい”かと思ったユリさんを待ち受けていたのは、「自分は何者なのか」という葛藤だった。

「当たり前ですが、向こうでは私は日本人でしかない。自分の軸足はどっちなんだろう、と悶々としました。日本では留学はすごい、みたいな風潮があるけど、私にとってはただの“逃避”でしかなくて。よく『英語ができるからいいよね』と言われますが、結局子供時代に覚えた言語というだけで、別に英語でビジネスをしたことがあるわけじゃない。日本語も英語も中途半端だと痛感した、というのが本音です」(ユリさん)

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