「赴任して一番驚いたことは、担任制度と運動会があるということです。まず教員が高校の担任のように、数十人の学生の指導や管理をします。大学にちゃんと来られているか、出席は足りているか、などチェックします。というのも、担任が世話をしないと履修登録もできない学生がいるからです。
そして運動会は、学生の一体感を強めるために行われるという名目ですが、実際の様子は、まるで中学校か高校のようでした。女子学生はその場で自撮りをしたり、インスタグラムを更新したり……。サークル活動ならばまだわかりますが、学内全体でやる必要がある行事でしょうか? これが大学の光景なのかと疑問です。教員仲間に話を聞くと、球技大会を行っている大学もあるそうです。これでは中学校、高校と同じですよね……」
こうした大学では、単位が足りずに卒業できず、何度も留年してしまう学生も少なくない。通常ならば学生の自己責任となるはずだが、Fラン大学では教員総出で単位認定に奔走するのだという。都内の別のFラン大学に勤務する男性教員・Cさん(50代)が語る。
「私の大学では、留年している学生、不登校傾向のある成績の悪い学生に向けた補講プログラムがあります。彼らは通常の期末試験やレポートをやらないので『補講に来れば単位認定する』というものです。しかし、こうした学生は補講もサボります。なかには『卒業させろ』とクレームを入れて来る保護者もいます。こうした制度は、教員の教育へのモチベーションも下がりますし、正直、この大学では教育が形骸化していると言わざるを得ません」
Fラン大学には、たとえ入学しても、主体的に学ぶことなく学生生活を過ごす学生も一定数いる。だが学校側の実績づくりのためには、そんな彼らですら卒業させなければならない。そこで、こうした過剰な“おもてなし”が行なわれているというのが実態だ。はたして、これが教育機関と言えるのかどうか、大学の在り方が問われるようなことが、現実に起こっている。