人生100年時代のなか、日本の若い世代は、結婚はおろか、恋愛やひとり暮らしをすることすらしなくなっている。それを裏付けるように、親と同居する未婚者が増加している。2015年に厚生労働省が行った調査によれば「50才まで一度も結婚したことがない人」の割合を示す生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%。つまり男性の約4人に1人、女性の約7人に1人が一生結婚しない。
未婚者のうち、親と同居する20~50代は約1430万人で、未婚者全体の約7割を占める。この人数は1980年からの35年でおよそ3倍に急増したという。
その要因としてまず挙げられるのは「貧しさ」だ。日本社会で格差が拡大するなか、特に男性の場合、社会的地位が低くて収入が少ないと魅力的な恋愛対象になりにくい。また収入が少ないと実家を出ることができず、自立するきっかけを逃し、結果として結婚が難しくなるとも考えられる。
独立や結婚を阻むのは、経済的な理由ばかりでない。「子ども家庭教育フォーラム」代表で教育心理カウンセラーの富田富士也さんは、“親と同居する気楽さ”を指摘する。
「昔は無理にでも家の外に出て行く以外に働く方法はありませんでしたが、今はインターネットを駆使して、自宅にいながらお金を稼ぐような仕事もある。しかも親は団塊の世代。年金も潤沢でそれほどお金に困っていない家庭が多く、衣食住費をまかなってもらえる。これでは、家を出ない子供が増えるのは当然です」