この先、中国が一帯一路戦略に沿って周辺国のインフラ整備に協力するとともに、周辺国に投資する形で製造業を移し、脱工業化を進める。さらに、金融、ハイテク情報産業を全力で発展させて、経済のサービス化を進展させる。そうすれば、中国の貿易収支は赤字基調となり、サービス収支、金融収支は黒字基調となるだろう。米中の貿易関係は希薄になることで均衡に近づくことも予想される。
しかし、その時は、米中が金融、ハイテク情報産業で互角となる可能性がある。アメリカとしては、中国経済が付加価値の低い輸出産業に重点のある経済構造のままの方が、都合が良いはずだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。