ブランド物から3000円のミニ財布へ急転換
男性でも長財布を辞める人がいる。30代の会社員・Bさんは一昨年、長財布からミニ財布へと切り替えた。
「父親の教育で、“ちゃんとした大人の男性は長財布を持ち歩くことが嗜み”と刷り込まれていました。機能性は二の次。女性にモテたいという思いもあり、30代になると、10万円近くする海外のブランドの長財布を購入し、使っていました」(Bさん)
だが30代も半ばを迎えた時、心境に変化があった。
「ある時、自分が好きになる女性が、ブランド品が好きそうなタイプではないことに気づいたんです。持ち物や装飾品でなびく女性は、そもそもタイプではなかった。決済やポイントカードの管理をスマートフォンで済ませることが増えたこともあって、財布も見直そうと考えました」(Bさん)
思い立ったその日、Amazonで購入したのは「財布 メンズ コンパクト」で検索してきた時にヒットした3000円ほどの3つ折りのミニ財布。替わりとなる財布が見つかるまでの“つなぎ”として購入したつもりだったが、結局ずっと使い続けている。
「小さくても、カード、お札、小銭などの必要最低限のものがすんなり入る。スーツの内ポケットに無理して長財布を入れていた時もありましたが、今思えば、正直かさばって嫌でした。長財布のほうがいい、といったビジネスマナーも時代遅れ。古いブランド財布はメルカリで売りました」(Bさん)
機能性のあるものが好調。コイン付きも人気
都内の百貨店で財布売り場を担当する店員は、最近のトレンドについてこう語る。
「ここ2、3年で、コンパクトな財布が欲しいというお客さんの来店が増えました。有名ブランド品かどうかというよりも、ポリエステルやナイロン製などのものも含め、機能性のあるものが売れています。売れ筋は1万円前後のもの。カード類の収納力があるものはちろんですが、まだまだ現金を使うこともあるためか、コイン入れ付きのものが人気です。
また、昨今のトレンドを受けてか、海外の有名ブランドでも、コンパクトで収納力のある財布のラインナップを増やしています。うちでも、ミニ財布の取り扱いを増やしていく予定です」
ブランドや嗜みよりも機能性。長財布離れとミニ財布の流行は、消費者の意識の変化がもたらしたものなのかもしれない。