とにかく家事にかける時間を減らしたい現代人。とりわけ料理に関しては、時短を実現する調理術が人気となっており、「自炊はするけど包丁を使わない」という人が増えつつあるという。「自炊者の包丁離れ」の背景に何があるのか、実際の声を集めた。
20代の女性会社員・Aさんは、何もできなかった夫に「キッチンバサミ」を使わせることで、調理の負担を減らせるようになったという。
「包丁を使えないといっても、ハサミなら大丈夫。献立をある程度決めておいて、夫に具材をハサミで切ってもらうだけでも、だいぶ楽になりました」(Aさん)
30代女性会社員・Bさんも、包丁らしきものはせいぜいペティナイフくらいしか使わない。魚はお店でさばいてもらうし、野菜も大きなものはレジで2つに切ってもらう。自宅ではピーラーやスライサーなどの調理用具や、ハサミを積極的に活用する。そんなライフスタイルになったきっかけは、自身の骨折だったという。
「自転車の転倒事故で利き腕の右腕を骨折してしまい、満足に仕事も家事もできなくなりました。特に調理はかなり厳しいうえ、包丁は危ない。それまでは、なんとなく“魚をさばけて一人前”というような認識があったので、一生懸命練習したこともあったのですが、よく考えてみたら、魚屋さんにさばいてもらったほうが綺麗だし、ゴミも出ないし、いいことずくめ。別に魚をさばけなくても何も困ることはありませんでした。
野菜や果物はすべて小さな果物ナイフで事足りるし、お肉やきのこは、キッチンバサミのほうが便利なこともあります。すっかり包丁を使わない生活に慣れると、骨折が治っても、大きな包丁を使うほうが珍しくなりました」(Bさん)