20代女性会社員・Cさんは料理が苦手だったが、結婚を考える恋人のために手料理を作ってあげたいという思いから、自炊するようになった。だが、ネックとなったのはキッチンの狭さだった。
「1Kで、キッチンが狭いのでまな板を置くのが容易ではないし、シンクに器具をとりつけてスペースを確保しても安定性が不安で……それにいちいちまな板を片付けて、皿や水切り、ボールとか置く場所を確保するのも面倒くさいし、時間がかかりました」
そこで思い立ったのが、包丁からキッチンバサミへの切り替えだった。省スペース化や時短、そして料理への不安もある程度払拭されることになったという。さらに、Cさんの背中を押したのは、レシピサイトで“包丁いらず”と検索したところ、大量のレシピがヒットしたことだった。
「主食やおかず、副菜、おつまみなど、種類がとにかく豊富でびっくりしました。量が必要なとき以外は、カット済みの冷凍野菜やお肉を買うことでさらなる時短も可能だし、食材が余ることなくてとても経済的です。
包丁を使わないでいい調理方法として、最近は“ちぎる”も組み合わせます。レタスなんかの葉物はその方が早いし、こんにゃくや豆腐なんかは特に味が染みやすくなります。カット済みの野菜の水煮パックも活用すれば、豚汁もあっという間できます」(Cさん)
30代女性会社員・Dさんにとって、包丁を使う頻度が減るきっかけとなったのは、娘の離乳食だった。それ以来、普段の調理でも重宝していると話す。
「包丁を使うと、みじん切りってすごい手間がかかるので、離乳食用のフードカッターやヌードルカッターを購入。麺類もごはんも、野菜もそういったカッター類で切って細かくしています。以来その優秀さに気づいてしまい、大人用の調理でも積極的に使うようになりました。分解できて洗えるカッターは利便性だけでなく衛生面も考慮されているので、お気に入りです。まな板を汚さなくてすむので、お肉のカットも本当に便利。あとはちょっとした長ネギを加えるというときも楽で重宝しています」
時短調理がブームとなるなか、調理器具の進化やレシピサイトの普及に伴い、自炊のスタイルも大きく変わろうとしているのかもしれない。