「資産寿命」を延ばす2つの方法
年金があてにできない以上、生活の頼みの綱は「資産」になる。
日本の高齢者は「貯蓄が多い」とされ、日本の個人金融資産1800兆円の半分は団塊世代など65歳以上の世帯が保有している。大半は現金と預金だから、金融庁はそのカネを株など投資に回させようとしている。
しかし、これから定年や65歳の年金受給を迎える世代は事情が違う。
バブル崩壊後の「失われた20年」と呼ばれる景気停滞の中でサラリーマン生活を送り、「給料カット」「社会保険料負担増(手取り減収)」そして「退職金の大幅ダウン」という“3重苦”で生涯賃金が下がっているからだ。
報告書にある統計資料からもそれがわかる。
サラリーマンの月給(大卒45~55歳)はピークだった1994年から10万円ダウン。同様に55~65歳の月給も減っているから20年分で計算するとざっと2400万円の減額だ。さらに給料から天引きされる社会保険料の負担率は9.6%(1994年)から14.92%に引き上げられ、手取りはもっと減っている。
退職金もピークだった1997年の大卒平均3203万円から1997万円へと、なんと1200万円も下がった。団塊世代が定年退職した2007年(2491万円)と比べても500万円ダウンだ。
給料と退職金を合わせると大卒サラリーマンの生涯賃金はざっと3600万円ほど減った計算になる。いくら「資産寿命を延ばせ」と言われても、そもそもこれでは現役時代に老後の十分な蓄えができるはずがない。ならば、どう生活防衛すればいいのか。
金融庁の言いなりに高齢者が「自助努力」で定年後も長く働き、生活をギリギリまで切り詰め、そうして蓄えた虎の子の貯金を株などの投資に回せば金融機関は喜ぶだろう。だが、それは“最後の手段”だ。
「資産寿命」を延ばす方法は他にある。