金融庁の金融審議会が5月22日にまとめた「高齢社会における資産形成・管理」報告書案によると、年金収入で暮らす夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の毎月の平均支出額は、26万3718円となっている(出典は総務省「家計調査」)。その内訳を見ると、「保健・医療費」の支出が平均して毎月1万5512円とあった。
歳を重ねれば、医療費はさらにかさんでくるが、その一部を「払わずに済ませる」ための公的扶助をフルに活用したい。
たとえば70歳以上の住民税非課税世帯なら、「高額療養費制度」を使えば自己負担額は月2万4600円が上限になる。夫婦で医療・介護費がかさんだら、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を使って年間の世帯での負担を一定額までに収められる(夫婦で同じ健康保険に加入している場合)。
こうした公的扶助が充実しているので、「民間の医療保険や生命保険の見直し」も重要になる。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が解説する。
「病気になったら高額療養費で賄うと割り切れば、民間の医療保険に払う保険料は貯蓄に回せます。生命保険も、終身死亡保険を葬式代程度だけ残して、更新のたびに保険料が上がる定期死亡保険は解約していいのでは。保険料月額1万3000円の医療保険、同1万2000円の定期死亡保険に加入している場合、これらを解約して年間30万円が浮く。リタイア後の20年間で600万円の違いになる計算です」