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LIXIL「2つの創業家」問題が突きつける「会社は誰のものか」という問い

トステム創業家出身の潮田洋一郎氏(写真:共同通信社)

トステム創業家出身の潮田洋一郎氏(写真:共同通信社)

 山本周五郎の小説『樅(もみ)ノ木は残った』は仙台伊達藩のお家騒動を題材にとった名作だ。遊興に耽って藩政を顧みない三代目藩主綱宗を一族の重臣たちが諌めるが、態度は改まらない。窮した家臣たちは幕府に願い出て、強制的に綱宗を隠居させてしまうが、遺恨が暗雲を呼び……というストーリー。LIXILの経営トップを巡る争いと似ている。

 今、LIXILで何が起きているのか。まずは経緯から説明しよう。LIXILは2001年にトステムとINAXが経営統合してできた住宅建材の最大手。取締役会議長として同社を引っ張ってきた潮田洋一郎氏はトステム創業家出身の2代目である。東大卒のエリートで、先進的な経営を取り入れることに積極的だった。

 ところがプロ経営者として招いた瀬戸欣哉・前CEOと経営路線が対立し、潮田氏は瀬戸氏を事実上、解任した。するとその過程に不透明な点があったとして、海外投資ファンドが反発。瀬戸氏は旧INAX創業家出身の伊奈啓一郎取締役や川本隆一取締役と手を組み、潮田氏の解任を求める事態に発展した。

 伊奈氏ら現役の取締役が臨時株主総会の開催を要求する“クーデター”を受けて、潮田氏は取締役の辞任を発表する。しかし6月25日に開かれる株主総会を控えて、なおも社内に影響力を残そうとする潮田氏に対し、伊奈氏、瀬戸氏らは攻勢を強めている──という経緯だ(LIXIL広報部は「株主総会に関する質問への回答は差し控える」とした)。

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