「当初、(旧INAXの会長だった)伊奈輝三に相談したところ『騒ぎを起こすんじゃない。社内で何とかならないか』と言われましたが、『社内ではどうにもならないから外の力を借りるんです』と説得しました。しかし伊奈家の持ち分だけで1%を集めるのも大変で、0.5%を保有する地元の常滑市にも賛同してもらうことにしました。
社員も自分の思っていることは主張すべきです。会社は社員の生活舞台なんですから。最近は内部通報で会社の不正が表に出るケースが増えましたが、それだけ自分が所属している組織に責任感を持つ人が増えたのでしょう」
――潮田氏は株主に向けてどちらの経営に賛同するかを問う委任状を発送する公算が大きいと聞いています。株主総会では多数の支持を得られそうですか?
「そうとは言えません。委任状争奪戦になれば、一般の個人株主が会社(この場合は潮田氏とLIXIL)の提案に乗ってしまう懸念があり、その場合はまさかの結果が出ないとも限りません。ただし、たとえ我々が負けても、実態を知ってもらい、それがLIXILだけの問題ではなく日本企業のいろんなところに隠れている問題かもしれませんよと、一般の方々や従業員に知ってもらうだけでもいいことだと思っています」
◆聞き手/山口義正(ジャーナリスト)