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57才で若年性認知症と診断された66才男性が過ごす「充実した毎日」

近藤英男さん・小夜子さん夫妻

近藤英男さん・小夜子さん夫妻

変わらずにいてくれた友人の存在が力に

 若年性認知症の問題の1つは、就業が困難になること。

「夫の場合は、会社が親身に相談に乗ってくれて、診断後、先に退職金をいただき、家のローンをギリギリで完済。59才で傷病手当金をいただきながら休職し、その後退職。今は私が働き、老齢年金などと合わせてなんとかやっています。先々を考えると心配は尽きませんが…」(小夜子さん)

 そんな近藤さん夫妻の支えになったのが友人の存在だ。

「高校時代からの仲間がいるんです。『おれ、認知症になっちゃった』と言ったら、最初は『ウソだろ』とびっくりされたけど、以前と変わらずにいてくれた。うれしかったですね。今も年1回はわが家に集まって、食べて飲んで歌って、楽しんでいます」(近藤さん)

 認知症を隠す人もいるが、夫妻はオープンにしている。

「隠すと困難が増える気がします。こちらから話せばお互いに気を使わずにすむ。友達などはいろいろ調べてアドバイスをくれるし、夫の散歩につきあってくださるご近所さんも。そんな環境が、症状の維持を可能にしているのかもしれません」(小夜子さん)

 今は週4日、デイサービスに通い、若年性認知症の家族会やカフェにも夫婦で積極的に参加している。最近では認知症の当事者として講演会にも登壇。認知症支援団体代表を務める稲田秀樹さんと、ギター弾き語りのフォークデュオ「ヒデ2」を結成し、講演後に行うライブも大好評だ。

「認知症になってよかったとは思いません。でも新たな出会いもたくさんあります。未知の世界に挑むようで、今、充実しています」と近藤さん。

「でも、出先で迷子になったり、浴室からシャワーを出しっぱなしで出て来たり。目が離せないんですよ」と小夜子さんがこぼせば、「それが認知症の本分!」と痛快ツッコミ。思わずみんなで笑い転げた。

※女性セブン2019年6月20日号

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