こうした親子間の意識の違いが表面化することは決して珍しくないという。「夢相続」代表の曽根恵子氏は、こういう。
「“せっかく贈与したのに、思ったほど感謝されない”という声はよく耳にします。退職後の人生の長さを考えるとサラリーマンの退職金の額は決して多くはなく、受け取った本人の世代で使い切るのが基本です。一度は贈与したけど、後になって足りなくなったから援助してほしい、というのでは結果的に子世代に負担をかけることになる」
政府は、リタイア後世代の資産を子・孫世代へと移転させることで消費の活性化を狙う意図から、贈与については様々な優遇制度を設けている。それに乗せられて、どんどん資産を渡していると、手元資金が足りなくなるリスクがあるのだ。
「少なくとも、“いつか必要になるだろうから”という考えで贈与するのはやめたほうが賢明でしょう。住宅や教育資金として、必要な分だけを渡すという考え方を持った方がいい」(同前)
※週刊ポスト2019年6月21日号