キャンプ愛好者が増えている。日本オートキャンプ協会の調査によれば、日本のキャンプ市場は5年連続で前年を超えた。キャンプを題材としたマンガ『ゆるキャン』のアニメ放映や、芸人のヒロシがYouTube上で自らのキャンプライフを配信していることなども、話題になっている。また、キャンプを1人で楽しむ「ソロキャンプ」、テントの設営や食事などを業者が代行する「グランピング」が普及するなど、様々なキャンプの形態が登場している。
また、楽天が発表した「夏のヒット番付2019」でも、キャンプ・アウトドア関連が上位にランクインしており、人気のほどがうかがえる。若いキャンプ好きに、キャンプをする理由とその醍醐味を聞いた。
自然の中で「人間になりたい」
30代の会社員・Aさんは、かれこれ5~6年キャンプを愛好している。都内近郊を中心に年に2~3回出かけ、キャンプ経験は通算20回ほど。会社の先輩に誘われたこともあるが、幼少期に家族で楽しんでいた影響も大きいという。
「育った家での経験から、将来、自分に家族ができても楽しめる趣味だと思って始めました。今までずっと都会育ちなので、住むのは都会がいい。だけど、たまには自然の中で喧騒を忘れたい瞬間もある。川のせせらぎや、風に揺れる葉音を聞くと、“人間”に戻ったという感覚がしますね。朝から自然の中でコーヒーを飲むだけで、心がリセットされます」(Aさん)
キャンプでは、流しそうめんやボードゲーム、登山を楽しむ。こだわりは特にないが、キャンプは、家族や友人と時間を共有する体験型消費の極みだと捉えて、今年の秋からは、妻と子どもとのキャンプを開始しようと考えている。テントは10年以上使うことを見越して、15万円ほどのものを購入した。ほかにも、クーラーボックスや、日差し避けのタープ、椅子、焚き火台など、年々キャンプグッズを買い足し、累計金額は約35万円ほどだ。
キャンプ1回の費用は、車のレンタル代、食費、そしてキャンプ場料金2000?5000円で、合計約1万5000円ほど。自然の中で過ごす時間が心地よく、今年もあと3回は行こうと思っているという。
だが、有意義と感じる時間のなかで、トホホと感じる瞬間もあるようだ。