住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「笹塚」(東京都渋谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京23区でも、とりわけ住みたい区として人気が高い渋谷区。渋谷を筆頭に、代官山、恵比寿、広尾、表参道、代々木上原など、区内はオシャレなイメージの街だらけですが、そんな渋谷区にありながら、庶民的な雰囲気を残すのが「笹塚」です。ほんの少し歩けば中野区、杉並区、世田谷区があり、渋谷区という印象は薄い笹塚ですが、住みやすさは区内のオシャレタウンにまったく引けを取りません。
鉄道は京王のみ。京王線と京王新線という2つの名前の路線で新宿に行くことができます。京王新線はそのまま都営新宿線に乗り入れており、乗り換えることなくダイレクトに山手線の内側に行くことが可能。新宿まで1駅、わずか4分で到着できるのは、大きな魅力です。鉄道では縦方向の移動ができませんが、都バス、京王バス、小田急バス、コミュニティバスが補完しています。
道路状況は良好です。駅の目の前を甲州街道が貫いており、環状七号線、山手通りも近く、首都高速の入り口も遠くありません。交通量は猛烈ですが、車派の方でもOKな街です。ただ、甲州街道の上を首都高速が通っているので、街全体が薄暗い印象を持つ人もいるかもしれません。
手軽に「渋谷区ブランド」が手に入る
住まいを探す際、少しぐらい家賃が上がっても、「神奈川県でなく東京都」「○○市でなく23区内」という選び方をする人は珍しくありません。そんな“ブランド志向”の人が「渋谷区」というブランドを手に入れやすい街が笹塚ではないでしょうか。ワンルーム・1K・1DKの家賃相場は8.96万円(ライフルホームズ調べ。6月11日時点)と、決して安くありませんが、それでも区内の他の街と比べれば、
渋谷:13.78万円
表参道:14.43万円
恵比寿:13.40万円
代官山:13.24万円
代々木上原:10.67万円
広尾:12.54万円
と、その安さは歴然です。