平均的な夫婦世帯で、年金収入だけでは「老後資金2000万円が不足する」と言われるなか、「資産寿命」をどう延ばすかが重要になってくる。たとえば人生で最も大きな買い物であるマイホームは、年代によって考え方を変える必要がある。住宅ローンアドバイザーの徳永浩さん(プロパティプロフェッショナル代表)が話す。
「30代は、仕事や子供の数など、人生設計が定まるまでは購入を焦らない方がいい。また、人生設計が定まっても、購入は慎重になるべき。近年、低金利で身の丈に合わない物件を購入した人たちが、金利の上昇によってローンを返済できなくなるケースが多発しています。働き方改革による残業規制で、収入が大幅に減るケースも見受けられる。これで大丈夫と思って購入しても、長い人生、何が起こるかわかりません」
定年間近になって返済に追われると、資産形成どころではない。人口が減少するなか、自宅を売却したくても売れない場合も多い。将来の自分の返済余力や、その物件の価値をよく考えるべきだろう。
40~50代で家を買おうとすると、定年までにローンを払い終えられない可能性が高い。その場合、そもそも家を買わない選択肢もある。
「たとえば、変動金利0.6%で3500万円の家を買う場合、管理費が大体2万円ほど、年間20万円程度の固定資産税を含めて、月13万円、年間155万円の支払いが35年続きます。年金収入だけで賄える額ではありません。それならいっそ家は買わずに、もっと安い部屋を賃貸で借りて、返済に追われることなく、貯金や運用などで資産作りをした方がよい」(徳永さん)