平均的な世帯における老後資金の不足が不安視されているが、年代別に活用できる公的サービスで、様々な支出をカバーすることもできる。
たとえば20~40代は、妊娠、出産をはじめ、子供の医療費などで支出がかさむ世代。国や自治体の支援制度をしっかり利用したい。
よく知られる「出産育児一時金」や「出産手当金」などのほか、医療費が免除されることもある「乳幼児・子ども医療費助成制度」も活用してほしい。住んでいる自治体によって対象や内容は異なるが、子供はほとんど医療費がかからない自治体もある。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが話す。
「日本一手厚い自治体は、北海道の南富良野町。所得制限もなく、22才の年度末まで医療費が無料です」(黒田さん・以下同)
50代になると医療費の負担が大きくなる時期だけに、医療費控除を有効活用したい。年間10万円以上の医療費を使った場合、確定申告することで税金の一部が取り戻せる。
「医療費が10万円に届かない場合は『セルフメディケーション税制』の活用も検討しましょう。『ロキソニン』『ガスター10』といった対象商品を年間1万2000円以上買った場合、8000円を超えた分が課税収入から控除されます」
働き盛りの夫が倒れて働けなくなった場合、頼りになるのが健康保険の傷病手当金だ。
「病気やけがで働けなくなった時に、1年半にわたり、それまでの収入の3分の2を受け取れる制度です。健保組合によってはもっと手厚く、2~3年もらえるところもあります。夫の勤務先健保の規定を確認しておきましょう」