日・米・欧の中央銀行が緩和施策を検討し始め、世界経済の景気減速が懸念される中、NYダウが史上最高値に再接近するなど株式市場は底堅く推移している。「景況感悪化でも株高」という相反する状況について、カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、直近の相場見通しと共に解説する。
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経済成長率や物価指数といった指標が芳しくないにも関わらず、株式市場が反発する現象を「不景気の株高」と呼びます。背景には、ファンダメンタルズが悪くなると政府が景気刺激策を講じる(示唆する)ため株高になりやすくなる、という構図があります。例えばFRB(米連邦準備制度理事会)がドルの政策金利を引き下げると、市場に資金が溢れ、株式市場にも資金が流入しやすくなり、株高を引き起こすというロジックです。
私のトレードは、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析に重きを置くため、「不景気の株高」を特別に意識したことはありませんが、テクニカルツールに売られ過ぎのサインが現れ始めたあと、景気刺激策が発表され、結果的に株高のトレンドに転じることは何度かありました。
足元の景況感の悪化から、投資家の中には株価下落の方向に備えている人も散見されますが、日経平均は20000円を割らない底堅い展開で、米国株式市場においても、NYダウなどは最高値に再度トライする勢いを見せています。これまでの投資経験から「選挙前に株は大きく下げない」と考えており、今夏は日本の参議院選挙、来年にはアメリカ大統領選挙が控えているので、日米の株式市場は大きく崩れないだろう、という見通しを現状は持っています。