2019年10月1日に、消費税が現行の8%から10%に増税される。ほとんどの商品の消費税率は10%に引き上げられるが、食品や飲料、新聞などは例外的に8%に据え置かれる。
ここで複雑になるのが「外食」にかかわる税率だ。店舗で食事をする場合は10%となるが、持ち帰りやデリバリーサービスなら軽減税率の対象となって8%となる。そうしたことから、注目されているのが「中食市場」の拡大だ。
日本惣菜協会の調査によれば、2018年の中食・惣菜市場は、前年比2%増の10兆2518億円。夫婦共働き家庭や単身世帯の増加を背景に2009年より10年連続で拡大しており、軽減税率を後押しにさらなる需要が増えるとされている。
消費税の増税は、企業経営にも大きな及ぼす一方で、中食市場を開拓するためのまたとないチャンスでもある。スターバックスとケンタッキーフライドチキンは、軽減税率を受け店内価格と持ち帰り価格を分けることを発表。デリバリーが主軸であるドミノピザも、新商品「アメリカンクラシック」の価格をデリバリー1800円、持ち帰り価格799円と大きく差を付けて販売開始した。今までは来店する顧客を中心に展開していたくら寿司やスシローなどの回転寿司チェーンもお持ち帰りを強化。居酒屋チェーン「串カツ田中」も、持ち帰り専用の新業態を開業した。
消費税増税とそれを受けた市場の動向について、消費者はどのように感じているのだろうか。
30代の女性・Aさんは、結婚2年の共働き家庭。お互いの帰宅時間は合わないことが多く、食事の時間はバラバラ。どちらか余裕のある方が、食事の用意をするようにしているが、最近になってデパートやスーパーの惣菜で済ませることも増えてきた。