10月1日から消費税率が10%に引き上げられ、政府の「ポイント還元」キャンペーンがスタートする。
これは商店街などの中小商店でキャッシュレス決済で物を買えば5%、コンビニなどのフランチャイズ店なら2%のポイントがつく。ネット販売も対象だ。期間は今年10月から来年6月までの9か月間限定で、住宅、自動車、商品券などを除いたほとんどの商品が対象になる。
「2%の増税で5%ポイントが付与されるなら増税前より安い」と大商戦になりそうだ。
政府の家計調査によると、65歳以上の2人世帯の食費を除いた生活費(消費支出)は年間約216万円。2%のポイントがもらえなければ年間ざっと4万円の損失になる計算だ。だからといって、ポイント還元の甘いエサに釣られる必要はない。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が言う。
「一番無駄なのはポイントがつくからと不要不急の物まで買うことです。どうしても必要で値崩れしない商品なら増税前に買う。
また、たとえば家電など大きな買い物をする場合、購入時期によって値段が大きく違う。エアコンなどの季節商品はシーズンオフに値段が万円単位で下がる。冷蔵庫や炊飯器は7~8月などに新製品が発売され、その直後に旧型が何割引きかに値下げされる傾向がある。そうした新製品サイクルで値段が下がるタイミングを見て買う方がポイントをもらうより安く買えます」
ポイント還元はいわば増税批判隠しのカモフラージュだ。キャッシュレス決済に疎い人ほど、実はポイントに惑わされずに得する買い物ができるのである。
※週刊ポスト2019年7月12日号