都市部から地方への移住者が増えている。毎日新聞とNHK、明治大学地域ガバナンス論研究室の共同調査によると、2014年の地方移住者数は1万1735人で、2009年度からの5年間で4倍以上に増えたという。また、最近では、若い世代の移住希望者も増加中だ。
地方自治体も、都市部からの移住者の受け入れ体制を整えている。特に、移住後に「こんなはずじゃなかった…」と思われることは自治体にとっても不本意。ギャップを埋めるため、各自治体が工夫をこらしている。
「相談を受ける時は、移住のデメリットをお伝えします」
そう語るのは、長野県佐久市経済部移住交流推進課の堀田剛志さん。希望者向けの移住相談を行う自治体は多いが、佐久市は理想と現実のギャップを埋めるため、あえて移住のデメリットを伝えている。
「相談時によいことばかり伝えたら、実際に移住した後に“説明と全然違うじゃないか”“移住するんじゃなかった”となる恐れがあります。相談者の多くは、移住のいいところばかりに目がいきがちなため、デメリットを積極的にお伝えしています。佐久市での生活が向かなそうな人の場合、“やめておいた方がいい”と、相談員がはっきり伝えることもあります。実は2名いる相談員は2人とも神奈川県からの移住者で、“経験者目線”で相談が受けられます」(堀田さん)
もちろん、美しい高原都市の佐久市は、豊かな自然にあふれ、医療環境も充実した住みやすい地域だが、意外にもこのダメ出しは好評で、相談者からは「はっきり言ってもらえてよかった」との声が寄せられているという。