「ご契約ありがとうございます! これで人生に万が一のことが起きても心配要りません。三大疾病や介護、死亡保障までカバーできて、弊社の中でも一番人気の商品です」
大手生命保険会社に勤務して15年になるベテラン営業マン・新垣誠さん(仮名・37才)はそう言って顧客の40代夫婦の前で笑みを浮かべたあと、心の中でこうつぶやいた。
《まあ、頼まれても自分では入らないですけど…》
新垣さんによれば、「保険会社が推奨する人気商品ほど、契約者が損をする仕組みになっていることが多い」という。
「保険の仕組みを単純に言えば、『加入者から保険料を集めて、必要な人に保険金として還元する』というものです。加入者にとって『得する商品』とは、集めた保険料がすべて保険金として分配される商品です。そうすれば、加入者には損はありませんよね。
一方で、保険会社にとって『儲かる商品』とは、保険料がたくさん集まって、なるべく保険金は払わないですむ商品なんです。保険会社は、社員の高額な給料や、テレビCMに登場する有名タレントのギャラ、商品の販売・宣伝のための経費などを、集めた保険金から支払っています。だから、なるべく高額な保険料を集めて、そこからガッポリと手数料を取りたいわけです。つまり一般論では、辣腕の営業マンが、自分がすすめる商品に入っていないというのは、ある意味で当たり前なんです」(新垣さん)
実際、今回行った保険会社勤務200人に対するアンケートでも、「入っている死亡保険を教えてください」という質問に対し、最多の回答(24人)は「自分は何も入っていない」というものだった。