前出の森田さんは「住宅ローンの取り扱いは老後を左右します」と指摘する。
「老後の支出のうち大きな割合を占めることが多い住宅ローンを完済しておけば、月々の支出を大きく減らせます。完済は無理としても、できるだけ金利の安い住宅ローンに借り換えておくなど、手を打っておくといいでしょう」(森田さん)
『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)の著者で、久留米大学商学部教授の塚崎公義さんは「一般的なサラリーマン家庭であれば、老後をそれほど心配する必要はありません」と指摘する。
「標準的なサラリーマン夫婦がもらう厚生年金は月22万円(妻が専業主婦の場合)ほど。一般的なサラリーマンはクビになるリスクが少なく、さらに退職金ももらえます。日本のサラリーマンはすごく恵まれているのです」
実際、大企業の大卒総合職の標準者退職金は2255万円に達する(経団連「2018年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」)。中小企業でも退職金は1203万円だ(東京都「中小企業の賃金・退職金事情 平成30年版」大学卒のモデル退職金より)。
森田さんも続ける。
「老後に旅行や趣味を心ゆくまで楽しみたい人は貯蓄を、ということで、2000万円の貯蓄がなくても、サラリーマン家庭であれば悲観することはありません」
※女性セブン2019年8月1日号