世の中にはそうおいしい話なんてない……。知り合いから持ちかけられた投資話に乗ったおかげで、借金を背負う形になってしまったという話は珍しいものではない。しかも、明らかな“投資詐欺”ではなく、仲間内での勧誘でも十分に起こりうることだ。
都内のバーに勤務するバーテンダーの男性・加藤さん(仮名、38歳)は、ある日、常連客に仮想通貨(暗号資産)の購入を勧められたという。
「古くからお店に通ってくれているAさんという方で、会社の経営をしている人でした。連絡先も交換していて、一緒に飲みに行ったりもする仲。バーテンダーとお客さんというよりは、普通の友人という関係です。
Aさんは以前から仮想通貨の取引をやっているという話をしていて、私も興味があったので、いろいろと質問をしていたんです。そしてある日、おすすめの通貨があるから買ってみてはどうかと勧められたんです」(加藤さん・以下同)
これまで、仮想通貨はもとより、株なども含めて投資はしたことがなかったという加藤さんだったが、Aさんのレクチャーを受けて、仮想通貨を始めることを決心。しかし、普段はバンドマンとして音楽活動をしているということもあり、バーテンダーとしての収入だけでは生活費を捻出するのがやっとで、仮想通貨に投じるお金を持っていなかった。
「Aさんが50万円を貸してくれて、仮想通貨を始めることになったんです。Aさんも、それなりに利益を出していたようなので、“レクチャー通りに買えば、損はしない”と言ってくれたし、利子もいらないということで、甘えてしまったんですよね……」