裁判所は原告自宅付近でワンセグ放送が受信できることを認め、設置とは「放送を受信することのできる状態に置いているか否か」で判断されるべきで、自動車に設置したことにより、受信設備を使用できる状態に置いたものと判断、【1】の要件を認めました。
さらに【2】の「受信を目的としない」かどうかは、受信設備を設置した者の主観によるのではなく、放送を受信し、これを視聴しない目的であることが客観的、外形的に認められるか否かにより、判断するのが相当であるとし、本件では【2】に当たらないと判断しました。
なお、放送法は設備された受信機ごとに契約を締結せよ、とはしておらず、NHKの受信規約も受信は原則世帯ごとで数え、自動車も住居の一部と看做すので、自宅で受信契約をしていれば、自家用車のカーナビでの契約は不要です。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年8月9日号