前年も上位500にランクされていて、今年大きく順位を上げた企業トップ10の内、6社が中国企業である。不動産企業の躍進が目立つが、アリババ、テンセントといったIT企業やIT技術を用いた新しい販売戦略を展開する家電量販店などが大きく順位を上げている。
また、新たに上位500入りした中国企業は13社ある。それらのセクターをみると、銀行、石炭開発、電車、ステンレス鋼、家電メーカーといった伝統的産業に属する歴史の古い企業が多いものの、中には高いブランド力を持つスマホメーカーである小米集団(468位)のように500社中、最も設立の新しい企業(2010年設立)も含まれている。
伝統的産業が廃れて新しい産業がどんどんと頭角を現しているというよりも、中国経済全体が膨張する中で、伝統的産業と新産業がいずれも売上を伸ばしているといった格好だ。
このように躍進目覚ましい中国だが、アメリカに及ばないところもある。もっとも気になるのは、テクノロジーの分野での順位が低いという点である。この分野での世界トップはアップルで、サムスン電子、鴻海工業、アルファベット(グーグル)、マイクロソフトと続き、ようやく6番目にファーウェイ(華為技術)が入る。以下、デル、日立、IBM、Sonyと続くが、上位500に入るテクノロジー分野の中国企業はレノボグループ、テンセント、中国電子情報産業集団、小米の合計5社しかない。中国はテクノロジー企業を中心とした新興産業を経済発展のエンジンにしようと考えているが、その道のりはまだ遠い。
そのほか、売上高は巨額であるが、銀行、通信や、テンセントなどの一部優良企業を除けば、利益率が低い点、国有企業が多く、国際的に競争力のある民営企業の数はそれほど多くない点なども指摘できよう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。