高齢化が進む日本において、特に大きな心配事となっているのが「実家に住む老親」の問題だ。
普段は離れて暮らしている家族が一堂に会するお盆の帰省は、親子の今後についてじっくり考え、話し合う絶好の機会だ。「うちの親はまだ大丈夫」「まだ子供に相談するタイミングではない」と準備を怠っていると、いざというときに途方に暮れる事態を招きかねない。
「健康状態」「お金(資産)の管理」「葬式・墓の意向」──親に確認しておくだけで将来安心なことはたくさんあるが、「親から子供に確認すべきこと、伝えておくこと」もある。
大事なのは「実家の片付け」に関わる子供たちの意向を探っておくことだ。
ただし、「私たちが死んだらこの家をどうするの?」というような聞き方では子供たちにとって重荷になってしまう。子供たちが現在の住まいに今後も住み続けるつもりなのか、それとも新たに住宅を購入する予定があるのか、定年後はどこで暮らすつもりなのか、などを聞いておけば、「子供たちにとって実家は必要か不要か」を探る手掛かりになり、実家の処分を検討する材料になる。
親の死後に遺族が頭を悩ませるのがケータイやスマホの「キーロック」だ。ケータイの中には故人の交友関係や金融取引など、遺族にとって知りたい情報が多く含まれている。
しかし、持ち主以外がロック解除を申し入れても、原則としてケータイ会社は応じてくれない。
「スマホのロック解除ができなかったために、夫の友人の多くの連絡先がわからず、葬儀に呼ぶことができなかった」(70代女性)などと嘆く遺族は少なくない。