国道に面した飲食店に、ファミリーカーが次々と入っていく。店舗入口には順番待ち用の椅子が並べられ、すでに満席。ぐずる子をあやしながら、立って順番を待つ家族連れの姿…。ある大手回転ずし店の夕飯時の様子だ。全国あちこちで、そうした人気ぶりは見慣れたもの。最近では、スマホアプリから予約できる店舗も増えているが、それでも休日ともなれば、2時間待ちもザラだ。
老若男女が集う回転ずしは、長引く不況の中でも、業界全体の売り上げが伸びている珍しいジャンルだ。「最強の外食産業」ともいわれるが、各チェーンは非常に厳しい競争にさらされている。「安かろう、まずかろう」では客は逃げていくばかり。どうしたら激安でおいしいネタが提供できるのか、そこには涙ぐましい努力が潜んでいる。
例えば、回転ずしのシェア1位の「あきんどスシロー」ではエビに関し、非常に厳しい社内基準があるとされるが、他店ではそれを“利用”しているケースもあるという。大手回転ずしチェーンの仕入れ担当者が語る。
「スシローは8~8.5cmの大きなエビしか使わない(スシロー広報は「一概にサイズについて回答するのは難しい。エビに精通したバイヤーがおり、厳しい基準があることに間違いない」と回答)。スシローのエビは、ほかの店舗よりも原価率が高いといわれています。
一方で、スシローに流れなかった“こぼれ品”を安く仕入れている店もある。味は同じなので、価格を下げずに提供しても“あの店よりまずい”という不満の声が出ることはない。同様に、タコやイカの規格外を大量に仕入れているところもあります」